インプラント

インプラントとは?

インプラントは歯を失ってしまった場所に、自分の歯の代わりに埋め込む人工物で、
被せ物などとは違い、人工的に作った根の部分を骨に埋め込む治療法です。

人工歯根とも言われ、その大きな特徴は「根がある」という事です。
この根を持つ治療法は、歯の無い所に施す色々な種類の治療法の中で唯一インプラントだけです。

根を持つということは、60㎏以上ある咬む力を支えるのに大きな役割を果たします。
地面にしっかりと根の張った木と、鉢植えの木。
どちらがぐらぐらしないかを考えていただければ、根っこの重要性を御理解いただけるかと思います。
根っこが骨に埋まっているインプラントと、歯茎の上に乗っているだけの入れ歯とでは土台が違うので、
インプラントの方がより強く支えられるのです。

インプラントの治療の流れ

骨に埋め込まれる根の役割を果たす部分の材質は「チタン」という金属で出来ています。
チタンは骨と結合しやすいというのが最大の特徴です。
骨は生きている組織なので、骨折をした場合などに欠けている部分などを再生しようと成長します。
しかし、異物があると、骨はそれを排除しようとするのが通常です。
ですがチタンというのは分子レベルで骨とよく似た部分があるのです。
なので再生するときに骨が異物だと思わず、一緒に取り込んでくっついてくれるのです。

こうして骨とチタンがしっかりとくっつくことで、人工的に埋め込んだ歯でも強い力を支えることができるのです。

インプラントの治療の流れ

  • インプラントの治療の流れ
  • 当院で使用しているインプラント

インプラントのメリットとデメリット

インプラントのメリット

インプラントは根を持つことで強い咬む力にも対応できます。咬み心地や見た目が天然の歯に近いこと、入れ歯やブリッジ等と違い健康な歯を削ったりすることもなく残っている歯を傷めないこと、違和感も全くないことがインプラントの効果です。

全身病予防にも効果的

全身病予防にも効果的

「お口の健康は万病の予防!!」とも言われています。全身の健康維持を達成するにはお口の健康が最も重要です。言いかえれば「食の健康」をも意味し、何でもしっかりとよく噛んで食事をすることで、大切な栄養分をバランスよく取り込み、食べ物を美味しく味わうことが心身ともに健康につながります。また、インプラントを長持ちさせるためには、メインテナンスが必須要件です。
そのメインテナンスが歯周病予防だけにとどまらず、歯周病を原因とする全身の病気、例えば心筋梗塞、脳梗塞、糖尿病、早産などの防止につながるのです。

かみ合わせが良くなる

かみ合わせが良くなる

インプラントの最大のメリットと言えるのが、入れ歯の痛み、がたつき、不自然さ、うっとうしさからの解放です。入れ歯をなかなか使いこなす事ができずに様々なストレスを感じている人は結構多くいるはずです。不安定な入れ歯からかみ合わせの乱れが生じ、それが肩こり、腰痛など全身の骨格バランスのズレを招く事も少なくないのです。かみ合わせは人間生活の根源をなすもので、寝たきりの人がしっかりと入れ歯をいれると起き上がれるようになることもあるそうです。失われたかみ合わせを根本的に治す方法はインプラントだけしかありません。上下の歯がしっかりと咬み合わさると顎から肩にかけての筋肉がリラックスし、背骨やとりわけ頸椎のずれが取れてきます。その結果、全身の骨格バランスが改善され様々な症状が軽くなるのです。

かみ合わせが良くなる

天然歯のような咬み合わせは、インプラントでしか回復できません。入れ歯やブリッジでは咬む力が不足します。咬める事は若返り(アンチエイジング)と密接にかかわっています。インプラントのメリットの一つがアンチエイジング効果と言ってよいでしょう。体の健康は歯のかみ合わせの影響を強く受けています。かみ合わせの悪さが骨格系、姿勢、精神の安定、免疫機能などに悪影響を及ぼしてしまうだけでなく、歯周病や歯肉炎の悪化によって、糖尿病、心筋梗塞、脳梗塞の誘因になります。かみ合わせの異常による病気を総称して「かみ合わせ症候群」と呼びます。前述した様々な症状のほかにも頭痛や肩こり、手足のしびれ、腰痛、顎関節の痛み、動悸息切れ、難聴、めまい等さまざまな症状があります。インプラントによるかみ合わせの回復が全身症状の改善につながることも少なくありません。

インプラントのデメリット

インプラントは多くのメリットがありますが、勿論デメリットもあります。しかし、どんな治療においても必ずデメリットはあります。そこで不安に思ってしまうこともあるかと思いますが、行う治療についてよく知り、そのデメリットを納得して治療を受けて頂くことが重要です。そのためにもメリット、デメリットについてよくご理解下さい。

手術が必要

手術が必要

インプラント治療ではフィクスチャーと呼ばれる人口歯根を骨に埋め込む時に手術が必要になります。それほど大きな手術ではありませんが、入れ歯やブリッジ等の他の治療法では手術が必要ないことを考えるとデメリットになると言えるでしょう。歯を抜くだけではなく、歯茎を開くなど外科手術になってきますので、衛生面にも充分な注意が必要です。歯茎は勿論、インプラントを埋めた骨の再生も待たなくてはなりません。手術の前後には何度か通院をする必要がありますし、喫煙や食生活についても多少の我慢をしなければならない事柄も出てくるでしょう。

骨の量が十分でない場合には、インプラントが出来ないことがある

骨の量が十分でない場合には、インプラントが出来ないことがある

インプラントを安定させるには、インプラントを埋め込む所にそれなりの骨の量が必要になります。CTを撮影することで骨の量がどの位あるのかを診断します。骨の量が少ない場合は骨を作る手術をすればインプラントが適応できる場合があります。

治療期間が長い

治療期間が長い

インプラント治療には、まずレントゲンやお口の型取りなど厳密な診査と診断、更には患者さん一人一人に合わせた治療計画の立案が必要になります。治療の過程では、埋め込んだフィクスチャーが骨と結合するのに3カ月~6ヵ月程の期間が必要になります。その後、結合が完全にされている事を確認してから支台部、そして人工の歯冠を装着していきますので、約4カ月~8カ月の治療期間が必要となります。インプラントを装着した場合に患者さんが必要な事は、ご自身でもしっかりとケアをして頂くということです。インプラントを入れた部分が炎症を起こしても痛みが出ない為に気付かないでそのまま放置していたために炎症が進んでしまいインプラントがだめになってしまうこともあります。普段のケアでしっかりと汚れを落とすということが必要になってきます。さらには1カ月~3ヵ月ごとの定期的な検診及び歯科医院でのメインテナンスが必要です。

審美的な修復が困難な場合がある

審美的な修復が困難な場合がある

歯周病で骨が溶かされ歯茎が下がってしまっている場合など、インプラントでは見た目の回復が困難な場合があります。審美的な回復が必要なところには適応できない場合もあります。

治療後のメインテナンスがしっかりできない人には向かない

治療後のメインテナンスがしっかりできない人には向かない

インプラントの予後を大きく左右するのがメインテナンスです。インプラントの周囲に汚れが付着することで周りの歯茎が炎症を起こしインプラント周囲炎でインプラントが脱落してしまう事があります。インプラントを長期保持するためにも治療後のメインテナンスが重要で、それが困難な方はインプラント治療は避けた方が良いでしょう。

治療費が高額

治療費が高額

インプラント治療は現状では健康保険の適応にはなっておらず、すべて自費での治療になります。当院では1本当たり25万円~30万円程の金額で行っております。インプラント治療は医療費控除の対象になります。医療費控除とは自分自身や家族のために、1年間で10万円以上の医療費を支払った場合にかかった治療費と総所得控除に応じて所得税が減額される制度です。医療費控除の申請には領収書が必要となりますので、医院からもらった領収書をしっかりと保管しておきましょう。控除金額は、所得総額と一年間にかかった医療費の額によって変わります。控除される金額の上限は200万円となっていますので、治療費について簡単にまとめておくと良いでしょう。

インプラントと他の治療方法の比較(入歯、ブリッジ)

たとえ一本でも失ってしまった歯を放置しているとかみ合わせのバランスが崩壊してしまいます。かみ合わせのバランスが崩れることで、全身の健康を脅かすことにもつながってしまいます。そうならない為にも失った歯を補う事で連鎖的に起こる最悪の事態を防がなければなりません。失った歯を補う治療法は次の3つです。

入れ歯

入れ歯

入れ歯は、人工の歯と一緒に人工の歯茎の部分も作ってあります。材料は様々で、形も値段もかなり幅があります。部分入れ歯などの場合は、前後に揺れることがないよう左右の自分の歯に金具を取り付け固定します。違和感が大きく、食事の際にものが挟まったり咬みにくい等の問題や口臭が気になる方もいます。また、金具のかかる歯等にも大きな負担がかかり健康な歯へのダメージは避けられません。約5年後に同じ入れ歯を使用できる可能性は40~50%です。

入歯のメリット

  • 歯がたくさん無くなった場合にも対応できる
  • 健康な歯を削る必要がない
  • 保険治療で行うことが出来る(保険外の入歯もあります)

入歯のデメリット

  • 取り外して手入れする必要がある
  • 違和感が大きい
  • 金具の付く歯への負担が大きい
  • ものを食べるときに動くためしっかり咬めない
  • 入れ歯が動いて発音がうまく出来ない
  • 入れ歯が動いて歯茎に強く当たると歯茎に傷がついて痛い
  • 顎の骨が痩せる場合がある

ブリッジ

ブリッジ

ブリッジとは、歯がない部分の両脇の歯を支えとし、歯に「橋」を架けるのです。これは歯が無い部分が1~2本程度の時に主に使われます。歯が無い部分の左右に橋を架けるイメージで、例えば抜けた部分が1本の場合に、3本つながったものをかぶせます。れにより、歯が無い部分をあるように見せる治療です。健全な歯を削らなければならないうえに支えになる歯に大きな負担がかかります。約10年以内に30~50%が再治療と言われています。

ブリッジのメリット

  • 固定式なので違和感が少ない
  • 天然の歯と同じような仕上がりになる
  • 保険治療で行うことが出来る(保険外のブリッジもあります)

ブリッジのデメリット

  • 歯を大きく削らなければならない
  • 歯茎から浮いているように見えることがある
  • 支えになる歯への負担が大きい

インプラント

インプラントは固定式なので、入れ歯やブリッジに比べても違和感が少なく、何より入れ歯のように残っている歯に金具をかけたりブリッジのように周りの歯を大きく削る必要が無いのが大きなメリットとなります。

金具をかけることで咬んだ時に大きな力が加わるのでその歯のダメージは大きく、ブリッジの土台となる歯は削ることでその歯の寿命は確実に短くなります。インプラントはそのように周囲の歯に侵襲を加えることなく治療を進める事が出来る優れた治療法です。

また、見た目も自分の歯と同じように作ることが出来るので審美的なメリットもあります。他の治療法に比べて骨が痩せていくことがありません。お手入れをきちんとすることで20年きれいに保っている方もいます。約10年後に90~95%が残ると言われています。

しかし、インプラントを埋入するには外科的な手術が必要となりすべての症例に適応できるという訳ではありません。さらには構造上、清掃が困難になる場合がありブラッシング時に注意が必要です。また、インプラントは保険の適応されない治療法なので治療費が高額になるのもデメリットと言えます。

当院ではそれぞれの治療法の良し悪しをしっかりと説明させていただき、ご理解頂いた上で患者さんに最も適した治療法を選択致します。

適した治療法
  • 適した治療法1
  • 適した治療法2
  • 適した治療法3
  • 適した治療法4

インプラントと全身疾患

インプラント治療では、精密診断とともに内科的診断も重要です。
インプラント治療は骨の成長が止まっている16歳以上のひとなら基本的に年齢や性別に関係なく可能ですが、
重度の全身疾患や慢性消耗性疾患のある人は慎重に対応する必要があります。
一般に次のような疾患をお持ちの方はインプラント治療が適していません。
治療を希望される場合、内科主治医がいる方は事前に相談してみることをお勧めします。

糖尿病で血糖値のコントロールが悪い方

糖尿病で血糖値のコントロールが悪い方

糖尿病の方は、さまざまな組織の細胞に障害が発生するため、血管内皮細胞の障害によって傷の治りが悪くなっています。また免疫系の働きの低下によって、細菌感染に対する抵抗力が低下しています。したがってインプラント治療には向いていません。しかし、糖尿病の方でも食事療法や内服薬の投与、あるいはインスリン自己注射によって、血糖値が良好にコントロールされていればインプラント治療を受けることは可能です。

重度の肝疾患のある方

重度の肝疾患のある方

急性肝炎、肝硬変、重度の肝疾患のある人もインプラント治療には向いていません。肝硬変の場合、血漿中の主なたんぱく質であるアルブミンが肝臓で合成されないばかりか、血液を凝固させる因子も合成が十分ではありません。したがって、手術をすると止血しない恐れもあります。
また、手術による刺激で急激に肝機能が悪化する場合もありえます。
また、手術時に投与される薬剤が肝臓で代謝されないこともあります。
このような理由により、重度の肝疾患の肝疾患がある方がインプラント治療を受ける場合は十分な術前評価が必要です。

心不全を伴う、重い心臓病のある方

心不全を伴う、重い心臓病のある方

息が上がって階段が登れない、枕を背中にあてないと苦しくて眠れない、いつも下肢がむくんでいるなどの症状がある人はインプラント治療にさきだって内科医の診察が必要です。狭心症については最近1~2カ月発作がないか、あっても軽度な場合、そして心筋梗塞については発作後半年以上経過している場合はインプラント治療を行える可能性があります。一方、心臓弁膜症で人工弁置換術を受けた方や不整脈のために体内型ペースメーカーを入れている方は、口腔内の細菌がこれらの人工物に付着して感染性心内膜炎を起こす危険性があるので避けるべきです。

血液透析を受けるような重度の腎疾患のある方

血液透析を受けるような重度の腎疾患のある方

腎疾患の人は免疫力が低下していることが多く、傷が治りにくいので注意が必要です。特に血液透析を受けているような場合は骨が脆くなっているのでインプラント治療は向いていません。血液透析では前腕に動脈と静脈の吻合をつくるため、やはり細菌が遠隔臓器に飛ぶ可能性があるため手術は危険です。

失った歯を取り戻したい、入れ歯が合わない、そんな悩みをお持ちの方...インプラントにしませんか?

  • インプラントの治療の流れ
  • 当院で使用しているインプラント